本日、残念ながら衆議院で可決された<テロ等組織犯罪準備罪>こと<共謀罪>について、これまで政府が繰り返し行ってきた 『国連条約のため』 との説明が全くの嘘であることが明白となった。以下「国連条約のためとされた共謀罪、国連からの指摘と質問に菅官房長官が回答もせず「強く抗議」の怪 | BUZZAP!(バザップ!)」から抜粋して引用。
◆共謀罪の目的は「国際組織犯罪防止条約」締結のはずが…
政府が共謀罪の成立を急ぐ根拠として最重視している国際組織犯罪防止条約(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約)。これはいわゆる国連条約のひとつであり、2000年11月15日、国際連合総会において採択された条約です。しかし、人権状況などを調査・監視する国連特別報告者が共謀罪にはプライバシーや表現の自由を制約するおそれがあるとし、4つの質問を行った安倍首相宛の書簡に対して菅官房長官は「不適切なものであり、強く抗議を行っている」と発言しました。
国連条約である国際組織犯罪防止条約を締結するために必須とし、国内法の概念を全く変質させてしまう重要法案にも関わらず、ろくな審議も行わないまま委員会で強行採決までしておきながら、実際に当の国連からの指摘や質問に対してなんら回答も行わず、「強く抗議」するとは全く意味不明です。
本当に国際組織犯罪防止条約を締結したいのであれば、国連からの指摘を真摯に受け止め、質問に誠実に回答するのが当然です。書簡内で「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と指摘され、「法案の成立を急いでいるため、十分に公の議論がされておらず、人権に有害な影響を及ぼす危険性がある」と議論の不十分さが懸念されている以上、法案を差し戻して公の議論を十分に行い、プライバシーや表現の自由が制約されないように条文の改正を行うのが条約締結のための本筋のはず。
しかし菅官房長官は「プライバシーの権利や表現の自由などを不当に制約する恣意的運用がなされるということはまったく当たらない」という「菅官房長官語」を振りかざして強弁するのみで、恣意的運用がなされないという法的根拠は皆無です。
(※中略)◆菅官房長官の特別報告者への大きな勘違い
さらに菅官房長官は「特別報告者という立場は独立した個人の資格で人権状況の調査報告を行う立場であり、国連の立場を反映するものではない」としていますが、これは大きな勘違い。「特別報告者(Special Rapporteur)」とは国連人権委員会が設ける言論の自由、拷問、食糧確保の権利、教育の権利などのような特定の人権のテーマや、特定の国家・地域の状況に関する作業部会において、国や地域を訪問して調査、監視、助言、報告書の公開といった「特別手続(Special Procedures)」を実行するために国連人権委員会委員長が任命する専門家のこと。
特別報告者は人権高等弁務官事務所から支援を受けて無給で、いずれの国家又は地域からも独立した専門家として活動する存在であり、決して単なる個人の意見を発しているわけではありません。
(※後略)

「このまま与党が強行採決すると、今回の国際組織犯罪防止条約への日本の参加がスムーズにいかなくなる心配が出てきた」(BS-TBS『週刊報道LIFE』5月21日放送)との指摘もあり、また、戦前の日本がリットン調査団の報告書を拒否して国際連盟を脱退したことを引き合いに 「マジで国連脱退しそう」 という悲痛なツッコミもなされている。いずれにしても、当ブログでも10年以上前から 『日本には共謀共同正犯理論や教唆罪、ほう助罪があるため 「広義の参加罪」 なら、ほぼ現行法のまま批准可能』 と指摘してきたとおりであり、<共謀罪>は国連条約のため、というのは全くの出鱈目だったのである。
<共謀罪>の性質、政府批判はテロ認定され、お上に睨まれたら、ATMでお金を下ろしたり、まばたきやうなづきをしただけで、一般人が、テロ集団の一員に仕立て上げられ、でっち上げの罪で逮捕されるという実態を鑑みれば、本法案は言論統制を目的にしたものであると言う他ない。
奇しくも今日は、 “男人形” 安倍晋三の公式アカウントが、Facebook の 「朝日は言論テロ」 投稿に 「いいね!」 するというグロテスクな事実も明らかとなった。 日刊ゲンダイの記事には、
「安倍首相は自分の立場や影響力を理解できないのでしょうか。時の政権にとって都合の悪い報道を『言論テロ』呼ばわりする投稿に対し、国のトップが支持する神経を疑います。今まさに共謀罪の恣意的運用が懸念されているのに、その懸念を国のトップが率先して増幅する。共謀罪の成立で危機に立つ『報道の自由』や『内心の自由』の重要性を考慮していないことを自ら告白したのと同じ。軽い冗談くらいに思っているのなら、空前絶後の驕慢です」(政治学者・五十嵐仁氏)とある。
今年3月の国会で、加計疑惑に「私が働きかけて決めているなら、責任を取る」と大見えを切った手前、安倍首相は朝日の追及に相当カリカリしているようで、周囲に「森友といい、加計といい、(朝日は)攻め方がワンパターンなんだよ」と当たり散らしているという。
さらに自民党は、ニコニコ超会議2017において、
もちろん、フツーの人が捕まることなんてことはない。
『デマ』を流す人は、この法律ができたら困るから??と記したチラシを配布し、『安倍政権に反対=テロ、デマ、異常、有罪』 というレッテル張りを堂々と挙行。ここでも、政府批判はテロと扱う、日本を北朝鮮化する(北朝鮮のような体制批判を一切許さない美しい全体主義国家に作り変える)という意思を表明している。