忘れられない夢がある。
爆発音に、思わず顔を上げた。僕は、洞窟の入り口付近で、入り口のほうに頭を向けて伏せている。なぜか。銃弾が、絶えず頭上を飛び交っているからだ。
後方から、異様な殺気が漂ってきた。僕は「殺される!」と思いすぐさま振り向くと、洞窟の奥、数メートル先の曲がり角から、クリーム色の装甲車のような物が、こっちに向かってやってくるではないか! 僕は一か八かで、思い切って装甲車の方へ走っていった。装甲車の脇を通り過ぎ、後に続いて進軍してきた敵軍の歩兵の脇を走り抜け、角を曲がった。兵士の一人は、ドラム缶よりも直径が大きい弾薬のような物を抱えていた。笑っているようだった。
角を曲がった先は、染み一つ無い白い壁の、近代的な建物の内部のようになっていた。洞窟の先は、完全に要塞化されていることになる。内部に向かって走りこんできた僕を、味方か非戦闘員とでも思ったのか、先の敵軍兵士たちは追ってこなかったが、他の兵士に見つかっては、どうなるか分からない。「見つかったら殺される!」という思いだけが、僕を支配していた。たまたま手前にあった下へ向かう階段を、僕は、一段飛ばしに駆け下りた。
ワンフロア、ツーフロア、スリーフロア…。僕は白い壁の、コの字型に折り返して続く階段を、どんどん降りていった。一段飛ばしではまだるっこしくて、二段飛ばし、三段飛ばし、ついには、踊り場から踊り場までジャンプして12段飛ばしを決行し、終いには、手すりから下へ飛び降りた。
僕は、或るフロアで階段と決別した。そこは図書館のようになっており、多くの民間人が利用していた。内装は、深いこげ茶色と白のツートンカラーで統一されており、落ち着いた雰囲気を出している。僕はその時「大学の図書館に似ているな」と思った。今にして思えば、全く似ていない。
僕は、多数の非戦闘員が醸し出す、平和なざわめきに身を任せながら、壁伝いに奥のほうへ進んでいった。僕は、トイレに行きたくなったのだ。地下深くにもかかわらず、そこには窓も有り、陽が差し込んでいた。
僕は図書館部分の裏にまわり、トイレと思われるドアを開いた。そこは思ったとおりにトイレだったが、想定外のことが起こった。そのトイレは、異常に汚かったのだ。
不潔、という言葉では形容し切れない。便器からは汚物が溢れ、汚水がそこら中に溜まっていて、全てが褐色に変色している。僕は、余りの汚さと匂いと湿気に、反射的に嘔吐した。
這う這うの体でそこから出る。恐らく、その時は涙目になっていたと思う。地下深くのハズなのに、外は日の光で溢れていて、緑も池もある。僕はその、庭のような部分の小道を、先のおぞましい光景を、早く忘れてしまいたいと思いながら、力士引退後の曙のような後姿の男性の後を歩いていった。
このページによると、夢に出てくるトイレは、その人が抱えている問題の、心理的な進捗状況を象徴しているらしい。この夢を見てから幾日か経った。僕の抱えているトラブルは、少しは進展しただろうか。
爆発音に、思わず顔を上げた。僕は、洞窟の入り口付近で、入り口のほうに頭を向けて伏せている。なぜか。銃弾が、絶えず頭上を飛び交っているからだ。
後方から、異様な殺気が漂ってきた。僕は「殺される!」と思いすぐさま振り向くと、洞窟の奥、数メートル先の曲がり角から、クリーム色の装甲車のような物が、こっちに向かってやってくるではないか! 僕は一か八かで、思い切って装甲車の方へ走っていった。装甲車の脇を通り過ぎ、後に続いて進軍してきた敵軍の歩兵の脇を走り抜け、角を曲がった。兵士の一人は、ドラム缶よりも直径が大きい弾薬のような物を抱えていた。笑っているようだった。
角を曲がった先は、染み一つ無い白い壁の、近代的な建物の内部のようになっていた。洞窟の先は、完全に要塞化されていることになる。内部に向かって走りこんできた僕を、味方か非戦闘員とでも思ったのか、先の敵軍兵士たちは追ってこなかったが、他の兵士に見つかっては、どうなるか分からない。「見つかったら殺される!」という思いだけが、僕を支配していた。たまたま手前にあった下へ向かう階段を、僕は、一段飛ばしに駆け下りた。
ワンフロア、ツーフロア、スリーフロア…。僕は白い壁の、コの字型に折り返して続く階段を、どんどん降りていった。一段飛ばしではまだるっこしくて、二段飛ばし、三段飛ばし、ついには、踊り場から踊り場までジャンプして12段飛ばしを決行し、終いには、手すりから下へ飛び降りた。
僕は、或るフロアで階段と決別した。そこは図書館のようになっており、多くの民間人が利用していた。内装は、深いこげ茶色と白のツートンカラーで統一されており、落ち着いた雰囲気を出している。僕はその時「大学の図書館に似ているな」と思った。今にして思えば、全く似ていない。
僕は、多数の非戦闘員が醸し出す、平和なざわめきに身を任せながら、壁伝いに奥のほうへ進んでいった。僕は、トイレに行きたくなったのだ。地下深くにもかかわらず、そこには窓も有り、陽が差し込んでいた。
僕は図書館部分の裏にまわり、トイレと思われるドアを開いた。そこは思ったとおりにトイレだったが、想定外のことが起こった。そのトイレは、異常に汚かったのだ。
不潔、という言葉では形容し切れない。便器からは汚物が溢れ、汚水がそこら中に溜まっていて、全てが褐色に変色している。僕は、余りの汚さと匂いと湿気に、反射的に嘔吐した。
這う這うの体でそこから出る。恐らく、その時は涙目になっていたと思う。地下深くのハズなのに、外は日の光で溢れていて、緑も池もある。僕はその、庭のような部分の小道を、先のおぞましい光景を、早く忘れてしまいたいと思いながら、力士引退後の曙のような後姿の男性の後を歩いていった。
このページによると、夢に出てくるトイレは、その人が抱えている問題の、心理的な進捗状況を象徴しているらしい。この夢を見てから幾日か経った。僕の抱えているトラブルは、少しは進展しただろうか。
今日のBGM♪ Nav Katze Change Remixed by Aphex Twin