以下、新聞赤旗より当該記事を抜粋して引用。
ここでポイントとなるのは、やはり 「 いったん全額負担 」 である。「奈良県:保険福祉課ホームページ」内の「保険証の種類と使いかた」によれば、
また、これも新聞赤旗の記事だが、「 高齢者直撃の負担増 医療改悪法案を国会提出 皆保険制度の土台壊す 」 には
因みに、これはやや余談になるが、毎日新聞の「社会保険庁:年金未納なら保険医資格更新せず」という記事には
昨年10月末日に “ 金の無い障害者は死んでくれ法 ” の側面を持つ 「 障害者自立支援法 」 が成立したが、特定の団体を除けば、これを問題視する声は聞こえてこない。同様に、2001年から始まった “ 保険証没収制度 ” や 「 医療制度改革関連法案 」 を問題視する動きも、殆んど広がりを見せていない。身の回りのことやライブドア事件、冬季五輪などに関心を奪われているだけかも知れないが、“ 沈黙は肯定 ” という伝に従えば、多数の日本人は “ 金の無い病人は死んでくれ ” というメッセージを了承している、と見なすことも出来る。
アメリカには公的な健康保険制度がなく、「アメリカ:個人破産の半数は高額な医療費が原因」 という事態も起こっているが、医療をめぐる分野でも、日本のアメリカ化は進んでいるのかも知れない。
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2006年2月14日(火)「しんぶん赤旗」図表もついている元の記事の詳細は、共産党のサイトでご覧頂きたいが、これを見てまず頭に浮かんだのは、北海道新聞の以下の記事である。一部任意に強調して引用する。
国保証
取り上げ30万件超す
470万世帯払えず
自営業者などが加入する国民健康保険の保険料(税)を払えない滞納世帯が全国で四百七十万世帯にのぼり、一年以上滞納して保険証を取り上げられた世帯が初めて三十万世帯を超えたことが、十三日までに厚生労働省の調査結果でわかりました。二〇〇五年六月現在の集計で、いずれも過去最高です。
(後略)
国保滞納し保険証返還 受診遅れ11人死亡 札幌も2人 2005/12/29 07:09乱暴に言って、保険料が払えずに11人死んでいる。これは “ 少なくとも ” であり、実際に死亡した方はもう少し多いだろう。
国民健康保険(国保)の保険料を滞納して保険証を返還し、医療機関の受診の遅れから病状が悪化、死亡したとみられる患者が過去六年に少なくとも十一人いたことが二十八日、共同通信の調べで分かった。患者のほとんどは不況の影響などによる低所得者という。滞納世帯は年々増加し、保険証を返還した世帯は昨年六月時点で約百三十万世帯。誰でも安心して医療が受けられるはずの国民皆保険制度の中で「格差社会」の一端を示した形だ。
保険証を返還すると、自治体は代わりに「被保険者資格証明書」や「短期保険証」を交付。資格証明書では、窓口で医療費をいったん全額支払うため患者の負担は重い。後で給付を受けられるが、滞納分を差し引かれる場合もある。
長期滞納者には二○○○年に資格証明書の交付が義務付けられ、医療機関離れを招くと指摘される。
今回は、二○○○年以降のケースについて、民主医療機関連合会(民医連)などを通じ調べた。
それによると、松江市の病院では資格証明書の患者三人が死亡。うち、今年二月に直腸がんで死亡した四十代の女性は○二年ごろから嘔吐(おうと)や腹痛を繰り返し、○三年半ば以降は症状がひどくなったが、市販の痛み止めで紛らせていた。自営業が振るわず保険料を滞納、○三年に資格証明書を交付されていたという。
名古屋市の病院で今年一月に大腸がんで死亡した五十代の男性も、救急搬送される約五カ月前から痛みを我慢し、受診時には手遅れの状態だった。同様に、札幌市では五十代の男性二人、千葉、岐阜両市で各一人の死亡が判明した。
短期保険証は、通常の保険給付を受けられるが、数カ月ごとに更新が必要。甲状腺疾患と糖尿病を患った北九州市の三十代の女性は期限が切れた後に治療が中断したとみられ、○一年に容体が悪化、死亡した。体調が悪くアルバイトも思うようにできなかったという。
ここでポイントとなるのは、やはり 「 いったん全額負担 」 である。「奈良県:保険福祉課ホームページ」内の「保険証の種類と使いかた」によれば、
後日市町村の国保窓口に申請して、7割(または8・9割)の払い戻しを受けることになります。らしいので、『 被保険者資格証明書(黄色) 』 交付者であっても、医療を受ける資格は保証されているという解釈は成り立つ。しかし、そもそも、健康保険料を払えない人が、あくまで一時的にせよ “ 10割負担 ” を支払うことができるだろうか。健康保険料の “ 戦略的滞納 ” を行っている ような、そんな奇特な人 ( そんなことをするメリットはあるのだろうか? ) なら別だろうが、一時的な支払いに当てる “ 見せ金 ” を作る余裕も無く、いきおい、医療機関の受診をためらい、場合によっては治るものも治らなくなる、という人が、保険料滞納者の大多数だろう。なお、毎日新聞の連載記事「 縦並び社会・格差の現場から:患者になれない 」 には
保険証の取り上げは6年前に義務化され、対象世帯数は7月現在で1万7667に上る。保険年金課は「保険料を払わない人への罰則というか……。そうしないと今払っている人に払ってもらえなくなる」と説明し、「負担の公平」を強調する。という一節がある。
また、これも新聞赤旗の記事だが、「 高齢者直撃の負担増 医療改悪法案を国会提出 皆保険制度の土台壊す 」 には
「現役並み所得」のある七十歳以上の窓口負担を、ことし十月から現行の二割から三割に引き上げます。二〇〇八年四月からは、七十―七十四歳の「一般所得」者の負担も、現行の一割から二割に引き上げます。という一節がある。同記事にはさらに
財界は、▽風邪などの「軽い病気」の医療は保険対象からはずす「保険免責制」導入▽保険がきく医療と、きかない医療を併用し患者を選別する「混合診療」の全面解禁―を要求しています。という一節もある。“ ジーンリッチ ” と “ ジーンプア ” の問題はまた別だが、 『 負担増 』 『 医療サービス縮小 』 『 (所得格差に起因する)医療格差の増大 』 という方向性は、揺ぎ無いもののようだ。
今回の医療制度改悪は、「保険証一枚」でかかることができる医療を切り縮める方向に突き進むものです。
因みに、これはやや余談になるが、毎日新聞の「社会保険庁:年金未納なら保険医資格更新せず」という記事には
所得があるのに納めていない一般の人に対しては、国民健康保険の給付を制限し、医療費を全額自己負担させる仕組みを導入する考えだ。3月に関連改正法案を国会に提出する。という一節がある。「 年金未納 → 保険証没収 」 というアクロバティックな手段が、年金未納率を圧縮する方法として真面目に検討されているらしい。この事もまた、先に引用した、北海道新聞の記事のような悲劇を引き起こす遠因になりうる。
昨年10月末日に “ 金の無い障害者は死んでくれ法 ” の側面を持つ 「 障害者自立支援法 」 が成立したが、特定の団体を除けば、これを問題視する声は聞こえてこない。同様に、2001年から始まった “ 保険証没収制度 ” や 「 医療制度改革関連法案 」 を問題視する動きも、殆んど広がりを見せていない。身の回りのことやライブドア事件、冬季五輪などに関心を奪われているだけかも知れないが、“ 沈黙は肯定 ” という伝に従えば、多数の日本人は “ 金の無い病人は死んでくれ ” というメッセージを了承している、と見なすことも出来る。
アメリカには公的な健康保険制度がなく、「アメリカ:個人破産の半数は高額な医療費が原因」 という事態も起こっているが、医療をめぐる分野でも、日本のアメリカ化は進んでいるのかも知れない。
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